内定確保≠転職活動終了
お気持ちはよく分かります。でも「転職成功!やったぁ!」と結論付けてはいけません。就職先が決まったからといって転職が成功したとは限らないからです。
入社前後は要経過観察!
入社前に聞いていた話が、入ってみて聞いていた以上に良かったということは稀(まれ)です。
盛ってある
一般的には、入る前に聞いていた話の方が大きかったり、良かったりするものだと思っていた方が間違いありません。今時(いまどき)の若者言葉で表現すると「盛ってある」と言うことです。酷い場合には、言葉だけで実態がないことも有ります。
中途採用された若手社員を中心とした会議が開かれました。会社を改革していこうという趣旨で、考えていること、感じていることを忌憚なく聞かせてほしいということで、経営メンバーが開催したものです。
その際に採用時に聞いていた話と会社の実態のギャップ(乖離)に話が及びました。
すると中途採用された社員らは一様に
と会社を評しました。
中途採用された社員たちの間には、採用時の会社側の説明に関して恐るべき共通認識が有ったのです。
入社前に見えるブラックの芽
当てにならない言外の話
含みのあった話なども当てにしない方が良いです。
例えば、直ぐに給与金額などは調整して帳尻は合わせるから少ないところから始めましょう・・・なんて話もほぼ昇給しないでしょう。
きちんと条件として取り決められていない話は、なかったことと同じだと思ったほうが良いのです。
入社前の取り決めとして機能させるためにはきちんと言質(げんち)を取ることです。
話し合いの末に契約書が出て来たとしても、合意事項に従って契約書が作成されているとは限りません。きちんと確認することが大切です。意図的に話し合いの内容に則っていない契約書を出してくるような企業であれば、入社辞退も考えた方が良いでしょう。
あなたは殿さまではないのですから、自衛のためにくれぐれも
はナンセンスだと理解しておいてください。
よくある初期給与抑え目
「初めは様子見で」だとかいろいろと理由をつけ、相場よりかなり安い金額から始めて欲しいという会社があります。そのような会社では、昇給させるつもりがない会社が多いでしょう。
企業に取って採用活動は、ある程度は先行投資として覚悟しなければならない部分が有ります。それに伴うリスクを採用される側に一部押し付けようというわけです。
その姿勢は、入社しても直ぐに辞める人が大半で、可能な限り初期投資を抑えようという考えの現れであることも多いでしょう。
まともな会社は採用される側も評価していることを知っている
初めの数か月であれ、ある程度満足の行く給与を支払った方が、モラール(士気)も上がるので、良い仕事をしますし、ロイヤリティ(忠誠心)も高くなります。モラールとロイヤリティは高い方が会社にとっては利益なので、優良企業では、あまり詰まらない出し惜しみはしないものです。
もちろん程度はあります。前職が部長職などでバリバリと仕事をしており、役職付きでの給与の満額は、確かに初めからは難しい場合も多いでしょう。つまり、嘱望されて入社、余程、望まれて入社する形でない限りは、転職直後は若干抑え目になることは予想されます。
しかしながら、採用する企業は、職務遂行能力に見合った給与を支払おうという姿勢や努力は示すものです。それは先に説明したとおり、ロイヤリティやモラールのことが大きいからです。それにもかかわらず、職務経歴などから見て明らかに少なすぎる金額が提示された場合は、辞退した方が賢明だと思います。あなたを評価、尊重するどころか値踏みしていると考えられるからです。
それは職務経歴を正当に評価できない会社であるか、業績に問題があり、資金がない会社であるか、人事の考え方そのものに問題があるかなど、経営上大きな問題を抱えた会社である可能性が高いからです。
採用におけるリスクを会社側が取らずに求職者に肩代わりさせようという意図も見えます。
経営がうまく行っている企業は、求職者にリスクを肩代わりさせようとはしないでしょう。そんな詰まらないことをしなくても採用活動だけでなく経営全般が円滑に行えるからです。尤も(もっとも)誰かに割を食わせるような経営が長期的に見て上手く行った試しはないでしょう。
求職者に初期の給与を抑えるなどリスクを肩代わりさせようという企業は、経営上なんらかの問題を抱えていると考えた方が良いことは既に触れました。場合によっては更に問題が有るかもしれません。経営者が極端な吝嗇(りんしょく:ケチなこと)なのかもしれません。いずれにしてもお付き合いして良いことはありません。
入社前に不当な提案をする企業は従業員にはそれ以上に不当である
更に言えることは、入社前、謂わば、未だ社外の人である相手に、そのような提案を平気で出来るような感性の企業では、入社後、社内の人間になったならば、どのような扱いを受けるようになるかは推して知るべしです。入社後は、会社側は、更に増長し、もっともっと理不尽なことをしでかし、要求するに違いありません。
ブラックの芽はそんなところからも見てとれるのです。
入社前の話≧入社後の事実
もちろんブラックの芽が事前に見える時ばかりではありません。中に入り内側から見れば、三日で分かることでも、外からはなかなか見え辛いからです。
入社したら、油断せずに長く勤務を続けられる会社であるか、長く勤務を続けるに値する会社であるかを見極めましょう。中途半端に入り込むことは長いサラリーマン生活においてマイナスになりますし、時間の浪費になってしまいます。
不法行為や非人道的行為がある場合は、問答無用で即退社です。
コンプライアンス(法令遵守)についての企業文化や考え方もよく観察し確認した方が良いです。
転職の成功
勤務継続が可能であり、勤務継続に値すると判断できて初めて、転職は成功したと呼べるのです。